腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、ランニングや階段の上り下りで膝の外側がズキッと痛むスポーツ障害です。
「少し休めば治るだろう」と思って放置したり、自己流のケアを続けてしまう方も多いですが、実はその中に痛みを悪化させる“やってはいけない行動”が隠れています。
この記事では、接骨院の専門家が、腸脛靭帯炎を悪化させるNG行動と、早期回復につながる正しい対処法をわかりやすく解説します。
腸脛靭帯炎とは?原因を正しく理解しよう
腸脛靭帯炎とは、太ももの外側にある「腸脛靭帯」と「大腿骨(太ももの骨)」がこすれ合うことで炎症が起き、膝の外側に痛みが出る症状です。
特にランニングや自転車競技などで発生しやすく、「ランナー膝」とも呼ばれます。
主な原因は以下の3つです。
同じ動作(ランニング・階段昇降)の繰り返し
筋肉のアンバランス(特に大腿筋膜張筋や中殿筋の硬さ)
フォームや姿勢の乱れ
この炎症が強い状態で無理をすると、治りが遅くなるだけでなく、慢性化して走れない期間が長くなることも少なくありません。
腸脛靭帯炎でやってはいけないこと5選
① 痛みを我慢して走り続ける
最も多いのが「大会が近いから」「練習を休みたくない」と、痛みを我慢して走ることです。
痛みを感じている時点で腸脛靭帯に炎症が起きており、そのまま続けると組織がさらに傷ついてしまいます。
結果として、治療期間が何倍にも伸びてしまうケースが非常に多いです。
痛みを感じたら一度トレーニングを中止し、炎症を抑えることが何よりも大切です。
ポイント:「少し休めばすぐ戻れる」と考えるより、「1週間休んで早く治す方が結果的に得」です。
② 痛い部位を強くマッサージ・ストレッチする
「痛みの原因は硬さだから」と自己流でマッサージやストレッチをする方もいますが、
炎症がある状態で刺激を加えるのは逆効果です。
炎症部位に圧や伸張刺激を加えると、さらに組織が摩擦し、痛みが増してしまいます。
正しい対処法:
炎症が強い時期(初期)は「安静+冷却」
痛みが落ち着いてから「ストレッチ・筋膜リリース」を段階的に行う
③ 痛み止めや湿布でごまかして走る
一時的に痛みが取れると「治ったかも」と感じますが、
それは炎症が抑えられているだけで、根本原因は解消されていません。
痛みを感じないまま走ると、さらに靭帯に負担がかかり、炎症が再発・慢性化します。
薬や湿布はあくまで「補助的なケア」として使い、痛みがある間は運動を控えることが大切です。
④ 自己流でフォームを変える
「外側が痛いから、内側に体重をかけよう」など、
自己判断でフォームを変えると、別の部位(膝・股関節・腰)に負担がかかります。
フォームの乱れや筋肉の使い方の癖は、動画や感覚だけでは正確に判断できません。
痛みの原因を根本的に改善するためには、専門家による姿勢・動作分析が重要です。
⑤自己流で治そうとする
自己流の治そうとするのはとても危険です。もしかしたら、悪い方向に行く可能性もありますので自己流で治そうとはせず専門家に相談しましょう。
腸脛靭帯炎を悪化させないために大切なこと
やってはいけない行動を避けるだけでなく、次の3つを意識すると回復が早まります。
1.痛みが出たらすぐに休む・冷やす
→ 早期対応が一番の治療。悪化を防ぎます。
2.痛みが落ち着いたら筋肉バランスを整える
→ 特にお尻(中殿筋)や太ももの外側の柔軟性を回復させましょう。
3.フォーム改善で再発を防ぐ
→ 接地位置や骨盤の安定性を見直すことで、再発リスクを減らせます。
当院での腸脛靭帯炎の改善アプローチ
当院では、腸脛靭帯炎の痛みを根本から改善するために
「原因の特定」→「腸脛靭帯の周辺環境の改善」→「再発予防」の3ステップで施術を行います。
1. 原因を徹底的に分析
姿勢・動作チェックにより、どの筋肉やフォームに負担がかかっているのかを明確にします。
2. 腸脛靭帯周辺の環境改善
痛みの強い時期は無理な施術をせず、特殊電療・アイシングなどで炎症を鎮めますが、大事なのはその後です。腸脛靭帯炎の場合、腸脛靭帯の周辺の環境が悪くなっています。特に、大腿二頭筋が腸脛靭帯を囲むように存在するため、大腿二頭筋が硬くなったり、腸脛靭帯と癒着すると腸脛靭帯に負担がかかるため、大腿二頭筋を中心に手技でほぐしていきます。
3. 再発予防までサポート
痛みが取れた後は、ランニングフォームの指導やトレーニング指導を行い、「痛みを繰り返さない体づくり」をサポートします。
まとめ
腸脛靭帯炎は、「走れないほどのケガ」ではないと思われがちですが、
やってはいけない行動を繰り返すことで長期化・慢性化しやすい疾患です。
痛みを我慢して走らない
炎症期はマッサージ・温めをしない
正しい順序でケアを行う
この3つを意識するだけで、回復スピードは大きく変わります。
少しでも膝の外側に違和感を感じたら、早めに専門家へご相談ください。



