スポーツ障害

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)とは?原因と対処法を解説

こんにちは、こばやし接骨院の小林です。

中学生や高校生になって、サッカーやバスケットボールなど運動部に入って運動を頑張っている子供は多くいます。
運動をしているとどうしても「ケガ」をしてしまうことがあります。
今回は、そんなケガの中から「シンスプリント」について解説していきます。

この記事は次のような人におすすめ!

  • シンスプリントって何か知りたい人
  • シンスプリントの原因を知りたい人
  • シンスプリントのセルフケアや予防の仕方が知りたい人
  • シンスプリントの治し方が知りたい人

記事を通して、シンスプリントの原因やケア・予防などについてわかりやすく解説していきます。
シンスプリントでお困りの方の役に立てると思います。

シンスプリントとは

シンスプリントとは、脛骨(けいこつ)の周りにある骨膜が炎症を起こすスポーツ障害です。別名、「脛骨過労性骨膜炎」とも呼ばれています。すねの内側の中央から下方にかけて、ズキズキとした痛みが生じます。

4.5月の中学生や高校生の新入生が部活を始めたばかりの時期冬の体力作りで走り込み練習が増える冬の時期に増えることが多い障害です。

また、走る距離や負荷を減らすと回復に向かう場合もありますが、練習を再開すると再発を繰り返すケースが多いといわれています。ひどくなると安静時にも痛みが出るようになるので、原因となる要因を取り除くことが大切です。

シンスプリントの原因

繰り返し走ることやジャンプすることなどの過度な運動による「オーバーユース(使いすぎ)」が一番の原因です。
ふくらはぎにある「下腿三頭筋」「後脛骨筋」「長趾屈筋」などの筋肉が、疲労により柔軟性か低下して筋肉の付着部である脛骨を覆う骨膜を引っ張ることで炎症が起こり「骨膜炎」が原因で痛みが出ると言われています。
そのため、このふくらはぎ内側筋群(下腿三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋)に負担をかけすぎてしまう要因が原因ともいえるでしょう。

ふくらはぎに負担をかける例として、以下の要因が挙げられます。

  1. 下肢の形態異常(回内足・偏平足)
  2. ふくらはぎの筋肉の柔軟性の低下
  3. 足関節の可動域制限
  4. 薄く硬いシューズの使用

下肢の形態異常(回内足・偏平足)

足の裏にあるアーチは、着地によって地面から受ける衝撃を緩和してくれるクッションの役割をしています。そのため、回内足や偏平足でアーチがなくなると地面からの衝撃がダイレクトに伝わるため、シンスプリントになりやすくなります。

ふくらはぎの筋肉の柔軟性の低下

脛骨の骨膜には、ふくらはぎにある後脛骨筋や長趾屈筋といった筋肉が付着しています。
そして、これらの筋肉の柔軟性が低下すると筋肉の張りが強くなるため、骨膜を引っ張る強さが強くなるため、シンスプリントになりやすくなります。

足関節の可動域制限

足関節の背屈(足首を上に上げる動き)制限も、一つの要因になります。
この動きはランニングで踏み込む時に使う動きで、背屈に制限があるとうまく踏み込むことが出来なくなります。
背屈制限があると、踏み込んだ際にニーインするかトゥーアウトして足首が詰まらないように使うため下腿の内側の負担が増えるため、シンスプリントの発生の要因になります。

薄く硬いシューズの使用

運動する際に使用するシューズも要因の一つになります。
ランニングシューズのようなインソールなどがしっかりしていてクッション性の高い靴であれば良いのですが、野球のスパイクやサッカーのスパイクなど靴底のクッション性が弱い靴で走りこんだりすると、偏平足と同様に地面からの衝撃がダイレクトに伝わるため、シンスプリントになりやすくなります。

シンスプリントは、こうような要因が重なり合って発症することが多いです。
自分が上記で挙げた要因に該当しないかチェックしてみて下さい。

シンスプリントの症状

痛みの出る場所は、下腿内側部(脛骨内縁中1/3)です。
主な症状は、圧痛運動痛腫脹になります。

 

症状は、以下のように分類されます。

  • ステージ1:運動時のみ痛みがある
  • ステージ2:運動前後に痛みがあるが、スポーツ活動に支障はきたさない
  • ステージ3:運動前中後に痛みがあり、スポーツ活動に支障をきたす
  • ステージ4:痛みが強くスポーツ活動は不可能

ステージ3以上では、運動を中止する必要があります。

どうやって診断されるの?

レントゲン、超音波画像検査、MRI検査を行い診断出来ます。
ただし、レントゲン検査では疲労骨折を生じている場合を除いては、異常所見を認めることはありません。
そのために、超音波画像検査、MRI検査を主に行い、筋肉や骨周りの炎症や、骨への血流信号などで診断していくようです。

疲労骨折との違い

シンスプリントとは骨膜の炎症なので、初期の段階ではレントゲンには写りません。
レントゲンに写るということは、すでに悪化して、骨にも異常を来している証拠です。

また、シンスプリントと似ている疾患に「疲労骨折」があります。
長期間、すねの内側の筋肉だけに痛みがある場合には「疲労骨折」との鑑別が必要です。

疲労骨折も初期の段階では、レントゲンに写らないので、シンスプリントと区別するためには、MRI検査(T2脂肪抑制撮影)が有効になります。

シンスプリントの治療・治し方

シンスプリントは、運動をしている人によく見られる症状です。
そのため、単に痛みを取り除くだけでは治ったとは言えず、競技へ痛みなく復帰することで治ったということが出来るため、競技への復帰を前提に治療して行きます。

シンスプリントの場合、まずは運動量を調整することから始めます。
先ほどの分類であったようにステージ3以上であれば運動は中止になりますし、ステージ1.2であれば痛みの出ない範囲に調整して運動を行う必要があります。

痛みを強く感じている段階であれば、基本は安静です。炎症を抑えるために電気治療を行ったり、炎症を抑える湿布などを使用します。

また同時にリハビリを行い、下肢のストレッチや原因となった下肢の問題点を改善していきます。痛みに応じて少しづつ運動を取り入れ、競技復帰までの道のりを歩んでいく事が大切です。

シンスプリントになったらどれくらいで治るの?

自発痛(何もしなくても痛みがある状態)がなくなったら、ウォーキングなど軽い運動から始め、両足ジャンプでも痛みが出なくなったらランニングなど、段階を踏んで復帰することが大切です。

治るまでの目安は、初期であれば2週間程度、重症であれば2~3か月後くらいです。

シンスプリントの予防・ケア

ご自身で行える予防やケアは、ストレッチと足部の強化でしょう。
下肢の筋肉の柔軟性の低下が原因となるため、ストレッチを行い柔軟性をしっかり高めましょう。
また、足部の筋肉が低下すると偏平足などの問題が発生するため足部の筋肉を鍛えることも予防の一つになります。

下肢の柔軟性改善

下腿三頭筋」「後脛骨筋」「長趾屈筋」に対してストレッチを行いましょう。

やり方
①壁に両手を付き立ちます。
②ストレスする側の足を後ろに下げ、膝を軽く曲げます。
③体を前に倒していくと、ふくらはぎが伸びてきます。

足部の強化

足底や足首周辺の筋力が低下するとアーチを保てなくなるため偏平足や回内足になってしまいます。
そうならないためにも、鍛えていきましょう。

やり方
①鍛えたい側の足を前にして片膝立ちになります。
②体重を前の足に乗せてかかとを上げます
回数 10回

まとめ

この記事では、シンスプリントの症状・原因・治し方などを解説しました。

まとめ

・シンスプリントとは、脛骨の骨膜が炎症を起こすスポーツ障害
・シンスプリントは、偏平足や回内足といった下肢の形態異常や筋肉の柔軟性の低下など様々な要因が加わり発症します
・シンスプリントを治すためには、状態に応じて運動量の調整が必要。そして、炎症を抑えることはもちろんだが、同時にリハビリを行い、下肢のストレッチや原因となった問題点を改善していく必要がある

シンスプリントは、とても痛みの強いスポーツ障害です。
ひどくなると歩くなど日常生活にも支障をきたしてしまいます。
そうなる前に、しっかり治療を受けましょう。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ABOUT ME
葛飾区こばやし接骨院
葛飾区こばやし接骨院。柔道整復師の国家資格を保有。野球やサッカー・バレーボールなどスポーツの現場で活躍しているためスポーツ障害や外傷の臨床経験が豊富。